Otona no Café × Ryuta Ogata
CONVERSATION 1
パンクにキーボード
- ------今日はよろしくお願いします。初めてライブにいらっしゃる方もいるかと思いますので、まずは自己紹介を。
- 飯野:飯野と申します。一応『大人のカフェ』ではリーダーをやっております。34歳乙女座です。
- 伊達:はい。えっと、伊達と申します。芸名は伊達さん。「さん」までが芸名でやらせていただいています。『大人のカフェ』ではコントの脚本を担当させていただいております。25歳の山羊座です。童貞です。
- 尾形:その童貞を含む紹介、デフォルトみたいになってきたよね(笑)。
- 伊達:あ、童貞です…。あ…すみません。よろしくお願いいたします。
- 加賀:加賀と申します。もうすぐ35歳になる魚座です。『大人のカフェ』では、センターをやらせてもらっています。
- 尾形:センターだと?このぉ。
- 加賀:あと、3人の中では1番恋愛体質ってことでやらせてもらっています。
- ------やらせてもらってるんですか?
- 飯野:許可した覚えはないですけど自称しちゃった(笑)。
- ------では、ゲストの尾形さんお願いします。
- 尾形:ゲストの尾形です。今まではドラマのタイトルバックとかをやっていました。最近はドラマも撮るようになり、映画にも関わったりしつつ、まあフィクションを中心に映像の演出をしています。
- ありがとうございます。では早速本題のほうに入っていきますけど、読んでいる方は、『大人のカフェ』と尾形さんの絡みのきっかけというものがさっぱりわからないと思うので、絡む事になったきっかけがあれば教えていただけますか。
- 飯野:元々僕が働いていた中目黒のバーにお客さんとして来ていたのが尾形監督だったと思うんですよね。
- 尾形:その言い方やめてくれない(笑)。なぜかはっきりしない言い方だし。
- 飯野:尾形さんは週1回来る程度だったんですが、それが2回になり、3回になり、多い時は週8回来たのが最高記録。
- 尾形:1週間は7日間しか無いんだけどね。
- 飯野:7日間しかないけど、1回退室してまた戻ってくるっていう、まさにヘビーユーザーっていうか。それで色々と尾形さんの仕事とか僕らのやってる事とか話しているうちに、『大人のカフェ』の事を話したら「おもしろそうだね」と。
- ------尾形さんのほうから興味を持たれたと。
- 尾形:いや、そういう記憶はない…(笑)。どっちかというと「大丈夫なのか?」っていう心配の方が大きかった。
- ------具体的に言うと?
- 尾形:飯野から、3人組でやるんですよみたいな話を聞いた時に「何やんの?」みたいな。そして「コントやります」みたいな。そもそも飯野とは“バーテンの飯野”として出会っていて、急に「同じ学校(養成所)に行ってる同期と三人でコントやるんです」みたいな話をされたから「それ大丈夫?」って印象が強かったかな。
- 飯野:親心?
- 尾形:そんなもんないよ!(笑)よくある、ライブやって「おもしろければみんな観に来てくれるんだ」みたいな雑草魂な感じでやっていこうとしているんじゃないかと思ったら怖くて見ていられなかった。
- 一同:笑
- 尾形:「あのね、おもしろくてもお客が来てくれないと意味が無いんだよ」って。そのためには宣伝したり仕掛けをつくったりとか、何か考えた方が良いって言ったらポカンとしてるから、「じゃあ、何かやるか?」という流れになり、そしたら「舞台で使用するタイトルバックを作ってください」みたいな流れになった。
- ------まずは幕間ドラマではなくて、タイトルバックを作って欲しいと飯野さんから?
- 尾形:いや、伊達から「タイトルバックは作ってほしい」って初対面のとき。
- ------何か上からですね(笑)。
- 尾形:そうなんだよ~。
- 伊達:いやいや、そんな事無いですよ!
- ------今の話を整理すると、何も戦略が無いしお前ら大丈夫かと。
- 尾形:そう。そもそも「俺が何かやってやる」とかじゃなくて「誰かにそういう事頼んだら?」っていう世間話だった。でも伊達からしたら自分はおもしろいことを考える自信はあるから、そういう人がいるならタイトルバックだけは作ってもらおうか、みたいな感じ!?(笑)
- 伊達:いや、そんな言い方はして無いですけどね(笑)。
- ------いいんですよ、伊達さん。でも、最終的には第6回まで続く幕間ドラマシリーズへと発展したわけですが、なぜ最初はタイトルバックだけという話になっていたんでしょうか。
- 伊達:一番マイルドな言い方をすると、不安だったっていうのはあって…。というのは、僕は2分とかピンの短いネタしか作ったことがなくて、初めてトリオで長尺のネタをやるってことで、全てが初めてづくしの状況だったんです。しかも尾形さんと会った当時は、まだネタも全部出来ていなくてとにかくゲスト含めた4人でちゃんとしたネタを完成させたいという思いから、余裕が全然無かったんです。今となっては失礼な態度だったなぁと…。
- 尾形:伊達にしたら、得体の知れない仲間を増やしたくないって気持ちがあったのかもね(笑)。
- ------これからの『大人のカフェ』の構想が決まっているのに、それをわざわざ乱してくれるなよと。
- 伊達:いや、正直『大人のカフェ』をこうしていきたいとかそういう感じとか未来像みたいなものは当時全く無かったし、「定期的になんかやれたらいいよね」ぐらいの感じだったから、どうなるのか不安だったっていうのがまぁ、一番ですね。
- ------伊達さん…。いいんですよ。ちなみに加賀さんはどのような反応だったんですか?
- 加賀:これを逃しちゃいけないと思いましたね。映像と一緒にネタをやれるってタイミングにそうそう巡り会えないし、伊達さんの「コントを大事にしたい」って気持ちもわかるけど、伊達さんの本を読んだ時に凄くおもしろかったし、コントの中身が100%以上のものを出せるんだったら一緒にやってもネタが映像に負ける事はないと思ったんですよね。だから尾形さんと伊達さんをくっつけたいと僕は思いました。
- ------尾形さんの中でも一緒にやったほうが良いという確信があったんですか?
- 尾形:いや、俺はやったほうがおもしろくなるって提案したわけじゃないし、俺自身もおもしろそうだなって興味持ち出した段階で、伊達の嫌がる気持ちも痛いほどわかったの。若いしこれからパンクにやっていこうとしていたわけだし。
- ------これから3人でパンクバンドやろうとしてるのに、いきなりキーボードのメンバーを飯野さんに紹介されるわけですからね。
- 尾形:パンクだろ!スリーピースだろ!!みたいなね(笑)。俺も伊達に会った時は「伊達が書いてるネタをベースにショートストーリーのドラマを挟むってことだから、ベースは俺じゃないよ!まずはネタの台本を読ませてもらえないか?」っていうアプローチをしたと思うけど。
- 伊達:でも尾形さんに稽古場に来ていただいた時、僕たちがやっているネタをおもしろいって言ってくださって、僕は純粋に嬉しかったっていうか、そもそも飯野さんが最初にまだ完成していない段階のネタ台本を尾形さんに渡していたんですよ。
- 尾形:読んだ読んだ!それが…、もう(苦笑)。
- 伊達:実際に僕が最初に書いた話は自分でも全く意味がわからないやつだったので「お前のネタがつまらないから、俺が映像で助けてやるよ」って言われているように当時の僕には聞こえていたわけですね。ネタがおもしろくないって思っている人に映像を撮ってもらうのは嫌だなって気持ちが大きかったのでおもしろいと言ってもらえたのは本当に嬉しかった。
- ------おもしろいと言ってくれた時に初めて、「この人は純粋に興味を持ってくれているんだ」という認識に変わったと言うことですね。
- 伊達:すぐってわけではないんですけど、逆に尾形さんもその稽古を観ておもしろいと思っていなかったら違っていましたよね。
- 尾形:まあね。「伊達ちゃんちょっときついよ~」てなってたな。最初に見た台本は、加賀が心臓をドンって叩いたら「あ~」とかいって絶叫する内容で、観なきゃ全くわかんないやつだったし(笑)。
- ------じゃあ、やるまでのきっかけを話すともう2時間くらいかかりそうなので、次に進めさせていただいて。
- 尾形:もういいよ終わりで。
- 伊達:いったんお手洗い行ってもいいですか?
- ------自由か!
Otona no Café × Ryuta Ogata
CONVERSATION 2
カフェ+ヒロイン=寅さん
------なんだかんだ尾形さんが幕間ドラマを担当することになったわけですが、僕も拝見してみて印象的だったのが、コントのネタと関連性のあるドラマに仕上がっていましたよね。
尾形:そもそも『大人のカフェ』って名前を聞いた時に、言葉に意味を感じるから、そこにパッケージ感があった方が良いんじゃないかって提案したんだよね。あと、俺はドラマを“男はつらいよ”にしたかったの。誰かが新しい登場人物に惚れて、その子がいなくなる。そしてまた誰か新しいヒロインが現れて…、みたいな感じで。こいつら3人が寅さん。
飯野:そうですよね。実際、寅さんネタもあったけど(笑)。
尾形:だから、「3人をカフェ店員と設定して、その店にヒロインがやってくる」というのを定番としたドラマを作る、これをパッケージとして進め
ていきました。
伊達:ただ、1回目だけは『大人のカフェ』の初まりってことで、『大人のカフェ』の紹介みたいな方向でドラマのシナリオを作っていただきましたね。
尾形:うん。1回目は「この3人誰やねん」だもん(笑)。だから2回目くらいからだと思うよ、コントのネタとドラマのストーリーがリンクするのは。
------実際仕上がったものを観てパンクス伊達さんはどうでした?
伊達:挑まなければ見えなかった景色だなって思いました。まだ2年目で、自分たちが売れてもいないのに悦に入るわけではないんですけど、いろんな方々のご協力で新しいものが出来たから、これを僕ら3人で大事に育てていきたいって気持ちになりました。
加賀:今伊達さんが言ってた景色っていうのは、もしかしたら飯野さんもそうかもしれないんですけど、ある程度僕が見たいと思っていた景色だったんで「この景色を伊達さんに見せたかったんだ」って気持ちにはなりましたね。
------「景色」気に入ってません?あと、加賀さんはその景色がイメージ出来ていたと…。
加賀:うん、完璧なイメージが。だからそれを伊達さんにちゃんと見せたいと思っていたから尾形さんの映像が出来上がった時はすごい嬉しくて。
------実際に尾形さんは、それまで様々な仕事をされていたわけじゃないですか。全然ジャンル違いなコントの幕間ドラマのシナリオを書き、監督をするということに抵抗はなかったんでしょうか。
尾形:すごい嫌だったよね…。
飯野:なんてこと言うんですか!!!
尾形:うそうそ(笑)。正直言うとトレーニングしたかった。
------新しい「景色」がみたかったんですか?
尾形:景色じゃない!(笑)。
加賀:尾形さんも景色好きなんだなぁ。
尾形:好きではない!
一同:笑
尾形:自分の名前だして俺が作ったって言うわけだし、何百人って人が観るわけだから、俺がいまいちだなって思うものを観せるわけにはいかない。だから、『大人のカフェ』を普段仕事で出来ないチャレンジ枠みたいな場所として使おうっていうか、あの頃の俺はとにかく自分が監督するシナリオを書きたかったのは確かだね。
飯野:1回目は正直「実験」だったと思います。僕らも初めてだし、そこに加わる尾形さんも初めてだし。
------ちなみにゲストヒロイン制にしたのは何か理由があったんですか。
加賀:3人で『大人のカフェ』を結成した時に、ちょっと僕が言うのもあれなんですけど…、3人だと花がないしプロ指向すぎると。
尾形:プロ指向……。ちょいちょい気になる言い方するよね、この人ね、ど素人だったクセに。
------発言ママでつかわせていただきます。
加賀:いや、ごめんなさい。言葉を選ぶと、感覚的に絶対女性がいたほうがいいと思ったんですよ。
尾形:今度は感覚的か……。ふわっとそれっぽい事言うよねこの人。
------まあまあ(笑)僕はゲストヒロイン制をおもしろいと思っていて、3人でコントユニットを組んで「さぁ、ライブをやろう」となったとき先ずは3人だけのネタから取りかかると思うんですよ。なのに、最初からゲストを入れてやるって思考はとても興味深いです。結果的にその構成は尾形さんの幕間ドラマに関してもうまく機能していますよね。
加賀:初めから3人でやる事に負けを意識したわけじゃなくて、女性を入れようと思ったのは、もう感覚としか言いようがないです。あと尾形さんの映像に関しては僕らからしてみたらギフトで、本当に天から来たものなんです。尾形さんはギフトでした完璧に。
------なんで2回言ったんですか?
加賀:いや、使ってほしいから。
尾形:ホント!気持ちワル……。
一同:笑
Otona no Café × Ryuta Ogata
CONVERSATION 3
走るか転ぶか確かめたい
------そういえば幕間ドラマは第6回公演までの約束だったとお聞きしましたが本当なのでしょうか。
尾形:それは、最初の話に戻るけど、パッケージをしっかり作って、ある程度出来上がったら何やっても許されるようになって、「大人のカフェはおもしろい」と浸透すれば、3人だけでやっても大丈夫なんじゃないかと思ったのね。
飯野:やっぱりここでパッケージを作り上げてくれた尾形さんが離れるって言うのは、チャリンコで言うと補助輪はずされるというか、そういう恐怖はありますけど。
------しかし幕間ドラマはともかく、今回はゲストもなしの3人勝負ですよね。
飯野:やはり尾形さんの言うパッケージの定着もそうなんですが、僕ら3人だけで何もない状況でやってみたいというか、そうなるべきだなって気持ちは元々あったんだと思います。それがいつなのかは未定だったけど、まさに今来たって感じですかねぇ。
------尾形さんは「このまま続けて行こう」みたいな気持ちは全くなかったのですか?
尾形:ない!いつかは3人でやるべきだと思ってたし、切り口を変えて言うともっとプロになって欲しいのね。自分たちでやりたいことを選んでいけるステージに行かないといけないと思う。もっと3人が、ゲストにしても映像を作る人にしても、「こういう人と組んでみたい」と選べる側になり、自分たちがパッケージを作る側にならないといけないと思うし、だからこそ補助輪外すと転ぶのか、外しても走れるのか、走れても10メートルなのか、ずっと走り続けられるのか……。そういう事を体感と共に知るってことがプロとしての第一歩だと思うんだよね。
飯野:うん。実力がついて名前が売れることで、尾形さんから「また一緒にやろうか」って言われるような存在にならないといけないって感じはしてます。
尾形:あのね、別にそんな上にいるわけじゃないからね(笑)。俺も発展途上中なわけだから。まあ君たちよりはプロだけどね!(笑)
------今の話を聞くと、今後このタッグでやる可能性はゼロでもないし、ある意味今回は今後の運命を決める記念すべき第1回となるわけですね。
加賀:『大人のカフェ』を楽しみにしてくれてるお客様は、きっと第8回目からまたドラマが始まるのを楽しみにしてると思いますよ。
尾形:ない!それだけは言っとく。外せよ補助輪!
一同:笑
------ではお時間も迫ってきましたので最後にコメントをいただいて…。
尾形:皆さんに向けて…、今回の3人だけの公演は楽しかったですか?あと幕間の暗転は長くなかったですか?エンディングのトークはグダグダしてなかったですか?セッティングをもっと早くしてください。あと……、
------はいはい、それも含めて今回のライブは楽しみですね!収集つかなくなってきたのでこれで終わりましょうか(笑)。
加賀:あと、これだけは絶対入れてほしいんですけど。
------もう終わっていいですか?
加賀:次の公演は11月を予定しているので。尾形さんのスケジュールをちゃんと空けておいて欲しい。
尾形:だから暇でもやらないよ。
加賀:でも今回の公演を観て気が変わるかもしれませんよ。
尾形:俺はその頃、秋から配信開始のフジテレビとNetflix初の共同制作連続ドラマ「アンダーウェア」撮ってるから。銀座にあるオーダーメイドランジェリー店を舞台に、働く女性達のモノ作りを描いた群像劇ドラマ撮ってるから。監督として君たちが信じられない規模のもの撮ってるから、絶対に観に行けない。
加賀:ステマか!
一同:笑